国と時代によって、たとえば、Cicero'は、キケローであるが、シセローになったり、ツィツェローになったりしている。(cf:cicerone)
正確な発音を表現する意味はあまりない(と言うよりは、権威ある説明が多く存在している)。
音節とアクセント【強弱】
A:子音は次の母音につく、音節の区切りを-で示すと、no-va,e-ro, re-po'-no', spe'-ro, a-mar
B:子音が二つ並ぶとき音節はその間にある.
C: (p,b,t,d, c,g )+ l、r の結びつきは分かれない.後の母音につくことになる.
la-cri-ma, fra'-tris, mem-brum,ni-gro'tem-plum
D:ただし、合成語は、要素に従って切ることになる。
ab-est, in-eo' (ab-, in-,は接頭辞)
アクセント
A:一音節の語は問題にしない、前置詞などは無アクセントの場合が多い。
B:二音節の語は最初の語にアクセントがくる。
rosa, faba, ama's, a'ra,terra, adde
C:三音節以上の語は、paenultimaが、長音のとき.終わりから二番目にアクセントがくる。
位置によって長い:hoestus,amantur, appello'
最後から二番目の母音が事実上短くても、
子音が二つ以上並ぶとき、longby positionでpaenultimaにアクセントがくる.
D:vocaveris, philosophia, dominam のごとく、最後から二番目の母音が
短音節の場合は、antepaenultimaにアクセントがくる.
ギリシャ語でいう、ウルティマにアクセントが、複音節でくることはない.
antepaenultima
E:-que(および), -ve(あるいは),-ne(ーか?), のような接尾辞(後倚辞)
のようなアクセントを持たないものがつくときその前の
音節にアクセントがくる,rosaque,terrave, ama'bone,
F:合成語は、要素に従ってアクセントが与えられる.trans-eo', in-ibit
※ -nct, -gn, -ns, -nx,の直前の母音は、長音である.
§2.動詞の変化
規則動詞には、1〜4までの活用形がある.
規則動詞の直説法現在(能動)
※ 以下アクセント記号,長音記号は原則用いない.
第一活用
amare
単数
1. (ego) amo 私が愛する
2. (tu) amas 君が愛する
3. (is) amat 彼が愛する
複数
1. (nos) amamus 我々が愛する
2. (vos) amatis 君たちが愛する
3. (ei) amant 彼らが愛する
※ 主語の省略については、ギリシャ語と等しい.
辞書は、直説法現在一人称能相 amo を見出しにしている.
第二活用
単数
1. moneo
2. mones
3. monet
複数
1. monemus
2. monetis
3. monent
第三活用
単数
1. rego
2. regis
3. regit
複数
1. regimus
2. regitis
3. regunt
第四活用
単数
1. audio
2. audis
3. audit
複数
1. audimus
2. auditis
3. audiunt
※ 現在形は、英語とほぼ同じであり、「歴史的現在」
現在進行形の意味をも持つ。
canit (<cano,V) Hesings, He is singing.
活用の肩を、T〜Wで示している.
語尾変化のみを表にすると以下のようになる。
T | U | V | W | |
単数1人称 | -o | -eo | -o | -io |
2 | -as | -es | -is | -is |
3 | -at | -et | -it | -it |
複数1人称 | -amus | -emus | -imus | -imus |
2 | -atis | -etis | -itis | -itis |
3 | -ant | -ent | -unt | -iunt |
§3.不規則動詞の esse,prodesse, posse
不定法現在esse
直説法現在
単数1:sum (わたしが)ある。
2:es
3:est
複数1:sumus
2:estis
3:sunt
不定法現在prodesse
直説法現在
単数1:prosum 役立つ
2:prod-es
3:prod-est
複数1:prosumus
2:prodestia
3:prosunt
不定法現在posse
直説法現在
単数1:possum ・・できる
2:potes
3:potest
複数1:possumus
2:potestis
3:possunt
§4.nonについて
non moneo. 私は忠告しない.
non potes regere. 君は支配することができない.
possumは英語のように不定法と共に用いることができる.
non audire. 聞かないこと(名詞用法)。
※否定する単語の前におかれると考えておけばよい。
【絶対に身につく練習問題】以上の解説より誤りを抜き出せ。
§5.名詞の第一〜第五変化について
名詞の変化は、ギリシャ語や、ドイツ語をイメージすればよい。
まず、性から
masculinum(m): vir 男
nauta 水夫
liber 本
sol 太陽
femininum(f): mulier 女
filia 娘
mensa 卓
luna 月
neutrum(n): bellum 戦争
corpus 体
otium 閑
mare 海
数については
singularis(sg)
pluralis(pl)
で、dualはない。
格は
主格 呼格 属格 与格 対格 奪格 地格
の、七つである.
名詞の第一変化 puella(f):娘、若い女
※第二変化以外は、主格と呼格が同じになるので、別に示さない.
単数 複数
主・呼 puell-a puell-ae
属 puell-ae puell-a'rum
与 puell-ae puell-i's
対 puell-am puell-a's
奪 puell-a' puell-i's
のごときである。
※奪格は、〜から、のように分離を意味するときや、
〜で(〜をもちいて)のような手段をあらわすときに使用される.
地格は、特殊な名詞にのみ存在し、〜において(場所)、となり、活用表に入れないときがある.
casus nominativus non, N
casus vocativus voc, V
casus genitivus gen, G 辞書には、属格語尾と性が示される.
casus dativus dat, D
casus accusativus acc, A
casus ablativus abl, Ab 奪格
casus locativus loc, L 地格
のように示す.
たとえば
rosa, agricola, filia reginae Cormeliae dat.
ばらを 農夫よ 娘は 女王の コルネーリアに (<do)与える.
農夫よ、女王の娘はバラ(pl)をコルネーリアにあたえる。
と言う文章が出来上がることになる.
語順はかなり自由であるけれども、概ね以下のようになる.
主語――主語の修飾―-間接目的語――副詞――動詞。
filia nautae Corneliae rosas semper dat.
水夫の娘はコルネーリアにバラをいつも与える。
puella rosas amat. バラが好きなのは少女なのだ。
rosas puella amat. 少女が好きなのはバラなのだ。
amat rosas puella. 少女はバラを好きなのだ。
・・・・・
§5.名詞の第二変化
まず第二変化
男性名詞 dominus(主人)、 puer(少年)、 liber(本)
単主 domin-us puer liber
呼 domin-e puer liber 呼格に異なる変化を持つのは第二変化男性名詞のみ。
属 domin-i puer-i' libr-i'
与 domin-o' puer-o' libr-o'
対 domin-um puer-um libr-um
奪 domin-o' puer-o' libr-o'
複主・呼 domin-i puer-i' libr-i'
属 domin-o'rum puer-o'rum libr-o'rum
与 domin-i's puer-i's libr-i's
対 domin-o's puer-o's libr-o's
奪 domin-i's puer-i's libr-i's
中性名詞 do'num (贈物)
単数 複数
主・呼 do'n-um do'n-a
属 do'n-i' do'n-o'rum
与 do'n-o' do'n-i's
対 do'n-um do'n-a
奪 do'n-o' do'n-i's
Revelation 22:21 gratia Domini nostri Iesu Christi cum omnibus
第二変化に属する名詞のうち、単数主格が -us で終わるものは(逆はそうではないが)殆ど男性、
-um 出終わるものはすべてが中性である。
第二変化男性飯のうち ius で終るものは、単数属格において -ii' と言う規則的な終わり方のほかに-i が使われる。
filius(息子)--> fi'l(i)i, この -ius の形は固有名詞にも多く見られ
Iu'lius --> Iu'li' また単数呼格も fi'li-e ではなくfi'l-i' となることがある.
Hora'tius --> Hora'ti'。
§5.形容詞の変化
第一変化・第二変化について、bon-us,-a, -um (よい)についてまとめ
この変化に属する形容詞を見てみる。
男 | 女 | 中 | ||
単数 | 主 | bonus | bona | bonum |
呼 | bone | bona | bonum | |
属 | boni | bonae | boni' | |
与 | bono' | bonae | bono' | |
対 | bonum | bonam | bonum | |
奪 | bono' | bona' | bono' | |
複数 | 主・呼 | boni | bonae | bona |
属 | bono'rum | bona'rum | bono'rum | |
与 | boni's | boni's | boni's | |
対 | bono's | bona's | bona | |
奪 | boni's | boni's | boni's |
男性 第二変化男性名詞 dominus
女性 第一変化女性名詞 puella
中性 第二変化中性名詞 do'num
などは同じ変化をする。
序数詞は、形容詞、bonus と同じ変化をする.
pri'm-us, -a, -um
secund-us, -a, -um
terti-us, -a, -um
quart-us, -a, -um
quint-us, -a, -um
sex-us -a, -um
septim-us, -a, -um
octa'v-us, -a, -um
no'n-us, -a, -um
decim-us, -a, -um
次に、所有形容詞であるが、英語ほどには用いず、意味は強い.
me-us, -a, -um 私の
tu-us, -a, -um 君の
su-us, -a, -um 自分の
noster, -tra,-trum 私たちの
vester, -tra,-um 君たちの
su-us, -a, -um 自分たちの (いずれも所有されるものの性数格に一致させる)。
性数格の一致については次のとおりである. sum などの自動詞を用いて、述語的に用いられる場合も同じである.
puer miser 哀れな少年が
pulla bona よき少女が
ami'ca mea est pulchra 私の女友達は美しい
sero'rum pigro'rum 怠惰な奴隷たちの
のようにである。
形容詞は、そのまま名詞として用いられることが多い。
bonus m 善良な男
bona f 善良な女
bonum n 善、よきもの
bona n,pl 資産
実はここの、 amicus 友人、は、本来 amo',好意的な、という形容詞であって、従い、女性形ami'ca は、女友達を指す.
§6.動詞の変化(2)
不規則動詞 sum の直説法過去
sg. pl.
1: Eram 1: erA'mus
2: Era's 2: erA'tis
3: Erat 3: Erant
(capitalはアクセントの所在を示す)
過去は、英語の過去進行形にややちかく.話者の意図が集中されている場合の表現であって、反復・持続・始動の感じをしばしばともなう。
直説法過去(能相)
servi' cibum et aquam carri's porta'bant.
奴隷たちは食物と水を車で運びつつあった.
iamque rubesce'bat Auro'ra.
しょして暁が紅みがかろうとしていた。
第一活用 amo' (愛する)の過去、能相・所相を見ると
ama'bem ama'ba'mus ama'bar ama'ba'mur
ama'ba's ama'ba'tis ama'ba'ris , -re ama'ba'mini'
ama'bar ama'bant ama'ba'tur ama'bantur
となる。動詞の時制に関しては、
直説法に 現在
過去
未来
完了
過去完了
未来完了
接続法に 現在
過去
完了
過去完了
命令法に 現在
未来
不定法に 現在
完了
未来
分詞に 現在
過去
未来
gerundium 属
与
対
奪
gerundivum --
supinum T
U
のそれぞれに第一〜四活用がそれぞれ上のように存在する.
§7.不規則動詞sum の変化(直説法未来)
T U
ero' erimus
eris eritis
erit erunt
§8.前置詞
ad 対格支配 toにほぼ等しい.
ad oppidum 町のほうへ
ad caelum 天に向かって
a' 子音の前
ab 母音の前
abs (c , q, t の前の多い)
属格支配 〜から(離れて)
puer ab oppido' venit 少年が町からやってくる。
ab alto' ad altum 高きより高きへ
e' 子音の前
ex 母音の前
奪格支配 (〜のなか)から(そとへ)
ex oppido' 町から
e' caelo' 天から
de' 奪格支配 of であるが、〜について、〜から(downfrom)
de' ami'citia' 友情について
de' facto' 事実について、事実上
in 対格・奪格支配
対格の場合:in , against などかなり広い意味を持つ。
in oppidum 町に【のなかえ】むかって。
in multo's 長年、多年にわたって。
奪格の場合:静止的な in , on
in oppido' 町の中において。
in populo' 公然と。
cum 奪格支配:with に相当する。
cum gaudio' 喜びを持って。
puer cum ami'co' venit
少年が友人と共にやってくる。
§8.不規則動詞eo' <行く>(不定法現在 i're)の変化(直説法、現在・過去・未来)
合成動詞 abeo' 立ち去る
adeo' 〜に行く
ineo' 入る
transeo' 横切る
pereo' 滅びる
redeo' 帰る
なども同じ変化をする。
直説法 接続法
現在
eo' imus eam ea'mus
is itis ea's eatis
it eunt eat eant
過去
i'bam i'ba'mus i'rem ire'mus
i'ba's i'ba'tis i're's i're'tis
i'bat i'bant i'ret i'rent
未来
i'bo' i'bimus
i'bis i'bitis
i'bit i'bunt
§9.疑問
quis 誰
quid 何
quo' 何処
cu'r なぜ
のほかに ・・・?(か?)にあたる
-ne
no'nne , num
の、副詞を用いて示される.
puellamne amat poe'ta? 詩人が愛しているのは少女なのか?
poe'tanepuellam amat? 少女を愛しているのは詩人なのか?
と言う具合である.また
no'nne は、no'n + -ne で、肯定の答えを期待しての・・・ではないのか?を示す.
no'nne equo's vide's? 君には馬が見えないのか?
num は反対に、否定の答えを期待して、あるいは想定して、
num agricolam casti'ga'ba's? いったい君は農夫を懲らしめていたのかね?(そんなことはなかろう)。
また、 yes, no にあたる語はなく、聞かれた動詞を持って回答すると理解する.
vide'sne rosa's? 君はバラを見ているか?
no'n video'. 見ていません。
video'. 見ています。